【2月24日 AFP】ナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州ディクワ(Dikwa)には車が1台も残っていない。電話回線はすべて爆破されたために外部との通信手段も皆無だ。

 しかし、ここで複数の人道支援団体が、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」によって家を追われた約5万7000人に援助を届けようとしている。2009年以来のボコ・ハラムによる反乱は、この辺境の地に壊滅的な打撃を与えている。

「1日に平均200~300人が到着する」と、この街に駐留する兵士は言う。「保護も食糧もなく、農業もできないために、彼らは自分たちの村を去ってきたんだ」

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が運営するクリニックのコンサルタント、アブバカル・ガンボ・アダム(Abubakar Gambo Adam)氏は、ここにやって来る人たちは往々にして状態が悪いと言う。深刻な脱水症状に陥っている人や、負傷した人、銃撃された人もいる。

「私がディクワに来た2016年7月以降、多くの変化があった」と、ガンボ氏は言う。「私たちは街の郊外の避難キャンプを拠点としていた。街には入れなかったからだ。衛生的な問題、下痢、マラリアがとても多かった。私たちは深刻な栄養不良の子どもを毎日、少なくとも10人は受け入れていた」

 昨年4月以降、ボコ・ハラムから解放されたディクワの中に援助機関が徐々に入れるようになり、ようやく人道危機の深刻さが明らかになった。

 国連(UN)サヘル(Sahel)地域担当人道調整官を務めるトビー・ランザー(Toby Lanzer)氏は7月、ディクワやモングノ(Monguno)などボルノ州の町の食糧難は、スーダンのダルフール(Darfur)や南スーダンにおける最悪の危機に匹敵するとAFPに語った。

 世界食糧計画(WFP)の倉庫には、ボルノ州全域の約130万人に配給するためのコメや豆、砂糖、トウモロコシなど1万700トンが保管されている。この人数は5か月前と比べてすでに3.5倍で、間もなく200万人に達するとみられる。