■環境圧と関連か

 今回の研究では、ハチが日常生活で見たこともないような物体(今回のケースでは小さな、黄色のボール)を自在に動かすことを学習できるかどうかを調査した。

 ハチは1匹ずつ、自らとほぼ同等の大きさのボールを転がすよう訓練されたボールは特定のゴールに向けて押し転がす必要があり、ボールがそのゴールに入ると、ご褒美の砂糖水がハチに与えられた。

 第1グループのハチは、この技をすでに学習済みのハチを観察させることで訓練した。第2グループでは、ハチから見えないよう実験台の下から磁石でボールをゴールまで動かし、その様子を観察させた。第3グループのハチは、何も見せずに行わせた。

 実験の結果、ハチは他のハチを観察することを通じて、最も高い学習効果を得ることが分かった。

 また時には、ゴールから遠く離れたボールを選んで運んでいた「コーチ役」のハチの行動とは違い、すでにゴール近くにあるボールを選ぶなど、ご褒美を得るためのより良い方法を自ら見つけ出すこともあった。

 論文の主執筆者の一人、オリ・ロウコラ(Olli Loukola)氏は「観察者のハチは、コーチ役による手本とは違ったやり方で課題を解決した。これは、見たことを単に再現したのではなく、それを改良したことを示唆している」と説明し、驚くべき認識の柔軟性を示していると指摘した。

「マルハナバチや他の多くの動物には、このような複雑な課題を解決するための認識能力が備わっているものの、そうした行動を余儀なくされる環境圧がかからなければ、それが発揮されないのかもしれない」と、ルコラ氏は話した。(c)AFP/Kerry SHERIDAN