【2月22日 AFP】イタリアで、人種差別撲滅に取り組む政府機関に割り当てられていた公的資金が、同性愛者向けに性的サービスを提供するクラブの運営に流用されていたとの疑惑が発覚し、この機関の責任者が辞任した。

 疑惑を報じたのは同国の人気テレビ番組「レ・イエネ(Le Iene、ハイエナの意)」。同番組によると、伊政府の反人種差別機関「UNAR」は公的資金を同性愛者向けのセックスパーティーを主催していた複数の「文化」団体に分配していたという。放送後、UNARのフランチェスコ・スパーノ(Francesco Spano)氏が辞任を表明した。

 伊政府が発表した声明によると、スパーノ氏は公的資金分配の責任者であったが、同氏が率いていた政府機関の事業に「配慮」し辞任を申し出たという。

 全国紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)は、イタリア全土で数百の同性愛者向けクラブを運営している、反性差別団体「ANDDOS」が昨年5万5000ユーロ(約660万円)を受け取っていたと報じた。

 レ・イエネが放送した潜入取材の映像には、初めて会う人同士が性的行為に及ぶための「暗い部屋」を、男性たちが使用しているとされる様子が映し出された。また、ANDDOSが運営する3つのクラブで、取材中のリポーターがお金と引き換えに性的なサービスを持ち掛けられたという。

 スパーノ氏は21日、日刊紙レプブリカ(La Repubblica)に対し、自身の辞任は「罪を認めるものではない」と述べたが、なぜクラブの1つの顧客リストに自身の名前があったかについては説明しなかった。

 また同氏はコリエレ・デラ・セラに対し、この協会は「同性愛者への暴力に苦しむ犠牲者たちのための支援センター設立に向け準備する」ことになっていたと述べた。(c)AFP/Ella IDE