【2月22日 AFP】(更新、写真追加)北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が殺害された事件で、マレーシア警察のハリド・アブ・バカル(Khalid Abu Bakar)長官は22日、マレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)で記者会見し、北朝鮮の外交官に対する聴取を要求していることを明らかにした。また、今回の事件に関連して逮捕された女2人は毒物を使った襲撃だと認識していたと述べた。

 今回の事件に関連し、マレーシア警察は既に北朝鮮国籍の容疑者5人の身元を確認しているが、さらに3人の聴取を求めている。バカル長官は記者団に対し、この3人の中には在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官と、北朝鮮の航空会社の職員が含まれていると述べた。

 バカル長官は「われわれは書面で駐マレーシア大使にこの2人に対する聴取を要求した。北朝鮮大使館がわれわれに協力し、早期の聴取を許可してくれることを期待する。そうでなければ、強制的に出頭させる」と述べた。

 マレーシア警察は身元を確認した5人は犯行に深く関与したと考えているとバカル長官は述べた。4人は事件当日に出国したが、残る1人のリ・ジョンチョル(Ri Jong Chol)容疑者はマレーシアで拘束されている。

 また、逮捕された女2人は自分たちが持っているのは毒物だと知っていたのかと記者から質問されたバカル長官は「動画を見ただろ?女は(金正男氏を襲った後で)すぐに手を洗いにトイレに行った。毒が使われたことをはっきりを認識し、手を洗う必要があったからだ」と述べた。

 バカル長官は、いずれも女性のベトナム人のドアン・ティ・フオン(Doan Thi Huong)容疑者(28)と、インドネシア人のシティ・アイシャ(Siti Aishah)容疑者(25)は、事前にクアラルンプールで犯行の練習をしていたと述べた。

 バカル長官はその一方で、捜査初日に逮捕された、アイシャ容疑者のボーイフレンドとされるマレーシア国籍の男を釈放したことを明らかにしている。

 インドネシアの警察は、アイシャ容疑者は人々にいたずらを仕掛けるテレビ番組に出演していると思い込まされていたとの見方を示していた。

 一方、マレーシアの北朝鮮大使館は同日、マレーシア当局に逮捕された容疑者の女2人とリ・ジョンチョル容疑者を釈放するよう求める声明を発表。

 カン・チョル(Kang Chol)駐マレーシア北朝鮮大使は声明で、「DPRK(朝鮮民主主義人民共和国)の市民1人と同様、ベトナムおよびインドネシア出身の無実の女性たちもすぐに釈放すべき」と述べ、さらに韓国が捜査に影響を及ぼしているとの主張を繰り返した。

 またカン大使は容疑者の女らが素手で毒物を扱っていたのであれば死亡していたはずであるゆえに、女らが犯人に仕立て上げられたとも主張したが、マレーシア当局が北朝鮮の外交官に対するに聴取を要求したとの報道には触れなかった。(c)AFP