【2月18日 AFP】シリア北西部イドリブ(Idlib)県で実施された空爆で、両脚を吹き飛ばされたアブドル・バセト・サトゥフ(Abdel Basset Al-Satuf)君(9)はこう叫ぶ。「パパ、抱っこして!」

 同県アルフベイト(Al-Hbeit)で政府軍が16日実施したたる爆弾攻撃に巻き込まれたアブドル・バセト君が、切断され血まみれとなった両脚で起き上がろうともがきながら、父親を求めて叫ぶ痛ましい姿を捉えた映像は、ソーシャルメディアで即座に拡散した。

 アブドル・バセト君は応急処置のため県都イドリブ(Idlib)市の病院へ搬送されたが、専門医療を受けるため17日に父親と共にトルコに移送された。

 トルコへ向かう直前の救急車内で、平静を保とうとする父親に付き添われたアブドル・バセト君はAFPに対し、前日の出来事を回想した。

「座って昼ごはんを食べていたら、町にたる爆弾が落ち始めて、お父さんに家の中に入れと言われた」

「でも、玄関に着いたときに家にたる(爆弾)が落ちた。爆発した時に火が僕の方に押し寄せてきて、両脚が吹き飛ばされた」

「お父さんがすぐ僕を抱き上げて、(家から離れた)地面の上に置いた。そしたら救急車が来て手当てをしてくれた」

 父親は残る家族を捜して家に戻ったが、家主によると、空爆によって母親は死亡し、姉妹2人が死傷、うち1人の夫も死亡した。アブドル・バセト君は母親が亡くなったことをまだ知らないという。(c)AFP