【2月16日 AFP】国連食糧農業機関(FAO)は16日、アフリカ南部の数か国でツマジロクサヨトウ(学名:Spodoptera frugiperda)の幼虫による食害で、地域の食料生産地全域に被害が及ぶ恐れがあると警告した。

 南部アフリカ地域を担当するFAOのコーディネーター、デービッド・フィリ(David Phiri)氏は、「全地域に被害が及ぶのは、おそらく時間の問題だろう」と状況が深刻であることを説明した。

 この問題を協議するため、ジンバブエ・ハラレ(Harare)では、アフリカ13か国の代表が集まり緊急会議が開催された。FAOの警告は、3日間の会議最終日に出された。

 ツマジロクサヨトウによる主食作物への被害は、ザンビア、ジンバブエ、南ア、ガーナの各国ですでに確認されており、他にもマラウイ、モザンビーク、ナミビアでも同様の被害が報告されている。

 この害虫は昨年、ナイジェリアとトーゴで最初に見つかった。アフリカへの到来ルートについては、南米地域からの商用機によって運ばれた、あるいは輸入植物にまぎれていたことなどが考えられている。

 ツマジロクサヨトウはトウモロコシ、小麦、キビ、稲などのアフリカ南部と東部の重要な食糧源に被害を及ぼす。これらの地域では、数年にわたる干ばつにより深刻な食料不足に悩まされている。食害は、綿花、大豆、ジャガイモ、タバコの畑でも出ている。

 農薬での対応は可能だが、南米地域の個体は農薬への耐性を既に獲得しているという。フィリ氏によると、この害虫を駆除するためにブラジルでは毎年6億ドル(約680億円)が費やされているという。(c)AFP