【2月16日 AFP】世界の海洋で、海水中の酸素量が1960年以降2%以上減少したとの研究報告が15日、発表された。この状況により、海の動植物に破滅的な結果がもたらされる可能性があるという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された研究論文によると、「無酸素水塊」と呼ばれる水中の酸素が欠乏した海水量が、1960年以降の55年間で4倍に増加したという。

 また、温室効果ガスとなる亜酸化窒素(N2O)について、海洋で生成され大気中に流出される量が「増加する可能性がある」と、論文は述べている。

 地球表面のほぼ4分の3を占める海洋は、わたしたちが呼吸する酸素の約半分と数十億人分の食料を毎年もたらしている。

 カナダ漁業海洋当局の研究員、デニス・ギルバート(Denis Gilbert)氏は、ネイチャー誌に同時掲載されたこの研究についての解説で「海洋の酸素量が2%減少したことは、それほど大したことではないように思われるかもしれない」と述べた上で「酸素量がすでに低下している海域では、海洋生態系に及ぼされる影響は深刻になる可能性がある」と警告した。

 海水酸素量の最大の減少は、「デッドゾーン(酸欠海域)」と呼ばれるすでに酸素不足の海域の近くで起きていることが、今回の研究で明らかになった。こうした海域では酸素濃度10年ごとに4%減少していた。

 酸素減少の大半は、太平洋(Pacific Ocean)の北および赤道域、南極海(Southern Ocean)、南大西洋(South Atlantic Ocean)で起きている。

 地球温暖化に起因する海水酸素の減少量と、自然の気候サイクルに関連する減少量がそれぞれどのくらいかを判断するために、さらなる研究が必要だと、論文の執筆者らは述べている。

 海水酸素については過去の研究で、2100年までに1~7%減少するとの予測とともにその減少は加速すると警告がなされていたが、今回の研究はその警告を繰り返す形となった。

 今回の研究結果は「地球温暖化が招く結果に対し、さらに大きな警鐘となるはずだ」と、ギルバート氏は述べている。(c)AFP