【2月15日 AFP】「バイアグラ(Viagra)がないとできない」と匿名の20代アフガニスタン人男性が電話の向こうでささやくように小声で言った──どうやら家族に聞かれるのではないかと心配しているようだ。

 この相談にカウンセラーの男性は、「兄弟よ、恥ずかしがることはない。これは普通にあることだから、精力増強剤を使わずに済む解決策を見つけるのを手助けしよう」と、なだめるような柔らかいトーンで相手を安心させた。その対応は手慣れたものだ。

 保守的で、性別での区別がはっきりしているアフガニスタン社会では、性的な問題に触れることは文化的にタブー視されているだけでなく、性的に倒錯していると周囲からの誤解を招く原因ともなる。

 しかし、アフガニスタンの若者らには中立的な相談相手がいる。政府が設置したヘルプラインだ。ここでは、精力増強や勃起不全、同性愛といった、これまでなかなか触れられなかった問題についてもアドバイスを請うことができる。

 冒頭の男性は電話相談を利用した後、「友人や家族に勃起不全について助言なんて求めたら、ふしだら、恥知らず、男らしくないと言われてしまう」とAFPに語った。

 この若者向けのヘルプラインは2012年、国連人口基金(UNFPA)の支援で設置された。首都カブール(Kabul)にあるコールセンターでは、性に関するカウンセリングの訓練を受けた男女10人のスタッフが常駐し、日々数百件の相談を受け付けている。

 センター長のアブドラ・シャヘド(Abdullah Shahed)氏によると、若い男性の相談内容は主にマスターベーションや早漏といった内容が多く、一方で若い女性の場合は避妊や初体験といったものが目立つという。失恋で傷ついた人に助言したり、うつ病や強制結婚のような重い話題にも応じたりしているが、相談の約70%は性機能障害についてだとシャヘド氏は話した。