【2月15日 AFP】インドでは2015年、大気汚染が原因で死亡した人の数が110万人に迫り、中国にほぼ並んだことが明らかになった。調査報告書が14日発表された。

 報告書は、米国を拠点とする保健調査機関、健康影響研究所(Health Effects InstituteHEI)と保健指標評価研究所(Institute for Health Metrics and EvaluationIHME)が共同で発表した。

 中国では近年、大気汚染が原因で早死にする人の数は横ばいとなっている。そのため、環境が急激に悪化しているインドが中国に迫るかたちとなった。インド主要都市での大気汚染は、安全なレベルを日常的に上回っているのが現状だ。

 同報告書は、早死にに関連付けられている人体に有害な微小粒子状物質「PM2.5」について、インドでは1990年から2015年に50%近く上昇したと記された。これら微小粒子状物質は肺がん、慢性気管支炎、心臓疾患の高い発症率と関連付けられている。

 報告書ではまた「PM2.5」に関連する世界の死者数が、インドと中国での数字で全体の5割以上を占めたことが指摘された。

 世界一の大気汚染国という有難くないタイトルを争う中国だが、スモッグ削減の努力により「PM2.5」による早死には2005年以降約110万人で推移している。一方のインドは、1990年の73万7400人から2015年には109万人に急増しており、今回、初めて中国と並ぶ状況となった。

 急成長するインドは過去20年間に急速な経済発展を遂げたが、石炭エネルギーへの依存と焼き畑農業による汚染も同様に急増した。(c)AFP/Nick Perry