【2月13日 AFP】フランスのパリ(Paris)郊外で警察官が警棒を用いて黒人男性(22)に性的暴行を働いたとされる事件に対して発生した抗議行動が暴動に発展し、12日までに37人が逮捕された。

 抗議の対象となっている事件は今月初旬、「テオ」という名のみが公表されている被害者の黒人男性がパリ郊外のオルネー・スー・ボア(Aulnay-sous-Bois)で警官らに拘束された際、激しい暴行を受けたもの。テオさんは手術が必要なほど激しい傷を肛門に受けたという。事件に関与した警官のうち1人は性的暴行の罪で、他3人が暴行の罪で起訴されている。

 事件現場に近いボビニー(Bobigny)の裁判所前では11日、およそ2000人が被害男性のために正当な裁きを求め、デモを行っていた。抗議行動は当初、平和裏に行われていたが、後に一部が警察と衝突し暴徒化。車や店舗、公共物などを破壊した。警察は「数百人」が「暴力行為や破壊行為」を行ったと非難している。

 一方、この暴動で、燃える車に閉じ込められた幼い女の子を16歳のデモ参加者が救い、ソーシャルメディアで英雄としてたたえられるという出来事もあった。

 今回の警官による黒人男性への暴行事件をめぐりパリ北郊ではこの1週間、抗議行動が続いている。警察との衝突も毎夜起きており、抗議開始からこれまでに約50人が逮捕されている。また抗議行動はマルセイユ(Marseille)やナント(Nantes)などフランス各地でも行われている。

 パリ郊外の移民が多く住む地域では、若い男性を標的とした強引な職務質問や行き過ぎた取り締まりなど警察への不満が長らくくすぶっており、今回の事件がそうした怒りを再燃させている。(c)AFP