仏国民戦線のルペン前党首、反ユダヤ発言の疑いで訴追
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【2月12日 AFP】フランスの極右政党、国民戦線(FN)の創設者ジャンマリ・ルペン(Jean-Marie Le Pen)氏(88)が、2014年に反ユダヤ主義で憎悪を扇動する発言を行ったとして訴追された。同氏の弁護士が11日、明らかにした。ルペン氏側は、発言は誤解され短縮して伝えられたと主張している。
問題とされたのは、2014年6月にFNのウェブサイトに投稿されたルペン氏が米人気歌手のマドンナ(Madonna)さんやフランスの元テニス選手で歌手でもあるヤニック・ノア(Yannick Noah)さんら同氏に批判的な人たちをののしる動画だ。このなかでルペン氏は、やはり同氏を批判していたユダヤ系仏人歌手のパトリック・ブリュエル(Patrick Bruel)さんについて尋ねられ「今度はこっちが窯(fournee)に入れてやる番だ」などと答えて物議を醸した。
この発言について、仏反人種差別団体「SOSラシスム(SOS Racisme)」はルペン氏が自身を批判する人々を攻撃する目的でナチス・ドイツ(Nazi)によるガス室でのユダヤ人虐殺を想起させる言葉を用いた「最も醜悪な反ユダヤ的発言だ」とし、ルペン氏の実の娘で次期仏大統領選に出馬しているFNのマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)現党首も発言を非難した。
ルペン氏が議員を務める欧州議会(European Parliament)も発言を受けて昨年10月末に欧州議会議員としての不逮捕特権を同氏から剥奪した。
一方、ルペン氏は「『窯』という言葉は反ユダヤ的な意味で用いたのではない。そうとるのは政敵や愚か者たちだけだ」と反論している。
ルペン氏は過去にもナチス・ドイツがユダヤ人をガス室で虐殺したことを歴史上の「ささいな事」と発言し、人種的憎悪扇動罪や人道に対する罪などで複数の有罪判決を受けている。さらには自身が創設したFNからも、こうしたナチス・ドイツのガス室に関する発言や、第2次世界大戦(World War II)中の親ナチスのビシー(Vichy)政権を擁護する発言が問題視され、2015年に党を除名されている。(c)AFP