【2月11日 AFP】2012年にカナダで失踪していた同国人の男性が、南米ブラジル・アマゾン(Amazon)の森林地帯で同国の警察により保護された。男性は精神に問題を抱えており、パスポートを持たず、猛獣が多く生息する密林をさまよい歩いていたという。

 アントン・ピリパ(Anton Pilipa)さん(39)は、2012年にカナダ西部バンクーバー(Vancouver)にある十字路で目撃されたのを最後に消息を絶っていた。だが、昨年11月28日になって、ブラジル北西部ロンドニア(Rondonia)州ジパラナ(Ji-Parana)で、悪態をつきながら混雑した道路をはだしで歩いているところを警察に発見され、身元不詳の外国人として保護された。

 英語が話せたため身元調査を任された警察官のエレニセ・ビジガウ(Helenice Vidigal)さんは今月9日のフェイスブック(Facebook)への投稿で、「彼はポルトガル語を話せず、滞在許可の書類もなく、明らかに精神疾患がある様子だった」と説明している。

 ピリパさんは、やたらと悪態をつき、高速道路で乗用車やトラックの間を歩く危険な行動をとっていた。警察に対し自分の家族について話すことを拒んだ一方で、カナダ連邦警察(Royal Canadian Mounted Police)に会いたいと語ったため、ビジガウさんはカナダ当局に連絡を取り始めた。

 しかし昨年12月中旬、ピリパさんは治療を受けていた病院から脱走してしまった。これは、ビジガウさんがついに男性の家族を特定するわずか数日前のことだった。

 再び行方不明となったピリパさんをブラジル警察は懸命に捜索。12月25日、連邦高速道路警察から、ピリパさんがアマゾンで目撃されたとの情報を得た。

 ビジガウさんは、「私たちはこの時、彼の身の安全を本当に心配し始めた。アマゾンのジャングルには、ヒョウやワニ、ヘビなどの危険な大型捕食動物が実際に生息しているので」と述べている。

 その後ピリパさんは無事保護され、再会した兄弟のステファン(Stefan Pilipa)さんに連れられてカナダに帰国した。ステファンさんはカナダ放送協会(CBC)に対し、「彼が生きていて、しかもあんなに遠くまで行っていたなんて、本当に驚いた」と話している。(c)AFP