【2月10日 AFP】アフリカに生息する絶滅危惧種のペンギンの若い個体たちが、気候変動と魚の乱獲が原因で混乱して餌が探せず、大量に餓死している。

 米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に9日付で掲載された研究論文は、アフリカペンギン(ケープペンギン)の置かれた苦境を説明している。ナミビアと南アフリカの沿岸部の影響が最も大きい領域では、若い個体の生息数が半減すると予測されている。

 論文の主著者で、英エクセター大学(University of Exeter)と南アフリカ・ケープタウン大学(University of Cape Town)に所属するリチャード・シャーリー(Richard Sherley)氏は「今回の研究結果はアフリカペンギンの若い個体群が、漁業と気候変動のせいで、不適切な場所での餌集めから抜け出せなくなっている状況を示している」と述べた。

 問題が発生するのは、若い個体が初めてコロニー(営巣地)を離れ、魚やその餌となるプランクトンのような微生物が豊富に生息する地域の兆候を求めて、海を探し回りながら長距離を移動する際だ。

 こうした兆候には、海面温度が低くクロロフィルaが豊富なことが含まれる。これはプランクトンが近くにおり、それを餌とするイワシやカタクチイワシも近くにいる可能性が高いことを示す。

「こうした兆候はかつては餌が豊富な領域を示す信頼できる手がかりとなったが、気候変動と大規模漁業のせいで、生態系内でペンギンの餌となる魚種資源が枯渇してしまった」とシャーリー氏は説明する。「今やこれらの兆候が若い個体たちを誘導する先は、アフリカペンギンが主食とする魚がほとんどいない場所の可能性がある」