【2月10日 AFP】北米からメキシコの越冬地に移動したオオカバマダラ(学名:Danaus plexippus)の個体数が今季は4分の1減少した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が建設を計画しているメキシコ国境の壁が、カナダから長距離の渡りをするこのチョウに悪影響を及ぼす恐れがあるという。メキシコ当局が9日、明らかにした。

 メキシコ当局によると、2016~17年の今季、オレンジと黒の羽を持つオオカバマダラはマツとモミの森林地帯2.91ヘクタールで見つかったが、これは前季の4.01ヘクタールと比べて27.4%の縮小だ。個体数は越冬するメキシコのメキシコ(Mexico)州およびミチョアカン(Michoacan)州でオオカバマダラが見つかった森林の面積で推定する。

 昨年は寒冷前線と雪が、オオカバマダラが越冬する中央山岳部の森林地帯の100ヘクタールを襲った。記者会見したメキシコの保護地区監督官アレハンドロ・デルマソ(Alejandro Del Mazo)氏は、異常気象が個体数減少の主な原因だと述べた。

 同時にデルマソ氏は、オオカバマダラの生存はトランプ米大統領が3000キロメートルの国境に建設するとしている巨大な壁によって脅かされる恐れがあると警告した。国境を越えて渡りをする際の自然の道しるべが障壁によって変えられてしまう恐れがあるという。

 デルマソ氏は「間違いなく、生息地の分断と、わが国が米国と共有する河川や支流に引き起こす変化が影響を与える恐れがある」と語った。(c)AFP