【2月10日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の顧問を務めるケリーアン・コンウェー(Kellyanne Conway)氏は9日、米国民に対し、トランプ氏の長女イヴァンカ(Ivanka Trump)さんが手掛けるファッションブランドの商品を買うよう呼び掛けた。前日にはトランプ大統領本人が、同ブランドの販売中止を決めた大手百貨店を非難していた。民主党議員らはコンウェー氏による宣伝は倫理規定に触れると強く批判しており、政府機関が調査を行う可能性が出てきた。

 コンウェー氏は米FOXニュース(Fox News)のインタビューで「イヴァンカさんの商品を買いましょう。(…)私は買い物が嫌いですが、きょう買いに行くつもりです」と発言。

 さらに「これは素晴らしいシリーズで、私も幾つか持っています。ここで無料のコマーシャルをしてあげましょう。皆さん、きょう買いに行ってください。インターネットでも売っています」と述べた。

 コンウェー氏の背後には、「ホワイトハウス(White House)」の紋章がはっきりと写っていた。大統領の娘が販売する商品をホワイトハウスから直接売り込んだこの行動は、政府内の伝統を重んじる人々にとって、開いた口もふさがらないような大統領の権力乱用と受け止められている。

 だがコンウェー氏の発言は、トランプ氏の怒りを代弁したものだったことは明らかだ。トランプ大統領は前日、ツイッター(Twitter)への投稿で、同ブランドの販売を中止した高級百貨店ノードストローム(Nordstrom)の決定はイヴァンカさんに「あまりにも不公平」だと主張していた。

 コンウェー氏の今回の言動には批判が噴出している。民主党のイライジャ・カミングス(Elijah Cummings)下院議員は議会倫理委員会に宛てた書簡で、「これは連邦職員による地位乱用防止のための政府倫理法規の典型的な違反に当たると考えられる」と指摘。コンウェー氏の懲戒処分を要求した。

 米政府倫理局(OGE)によると、この問題をめぐって市民から「異常な数」の意見がウェブサイトや電話、電子メールを通じて寄せられているという。OGEはコンウェー氏に直接言及していないが、倫理違反に該当する可能性があると分かった場合に取る正規の手続きとして、本件の追及が妥当かの判断に当たるしかるべき政府機関と連絡を取ると明らかにした。

 コンウェー氏は監察総監室(OIG)による調査を受ける可能性がある。

 トランプ大統領に対しては、事業と親族を政治に持ち込んでおり、利益相反に当たるのではという疑念が向けられてきたが、本人は真っ向から否定。コンウェー氏がホワイトハウスから行った今回の発言により、この論争はこれまで以上に激化している。(c)AFP