米入国禁止令への反発続く、国連総長や共和党議員も批判
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【2月1日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が出した移民・難民の入国を規制する大統領令に対する反発は、1月31日も政府の内外で広がり続けている。
トランプ氏は前日夜、大統領令の擁護を拒んだサリー・イエーツ(Sally Yates)司法長官代理を解任。同大統領令に対し政府関係者が取った中で最も反抗的な行為を鎮圧した形で幕を閉じた激動の一夜は、かつてウォーターゲート(Watergate)事件の山場でリチャード・ニクソン(Richard Nixon)大統領が必死の火消し工作を図った様子とも比較されている。
トランプ氏は31日朝も戦闘態勢を緩めず、司法長官を含む内閣人事の承認妨害を続ける民主党員らを批判。ツイッター(Twitter)に、「彼らは恥を知るべきだ! 政府が機能しないのも不思議はない!」と投稿した。
イスラム圏7か国出身者の入国禁止と難民受け入れ凍結を突然指示したこの大統領令については、トランプ氏が自己擁護を展開する一方で、国連(UN)から自党の共和党議員まであらゆる方面から批判的な声が上がっている。
トランプ氏側の関係者も含む反対派は、この大統領令は適用範囲が広過ぎる上、性急に発令されたことに苦言を呈している。一部メディアは大統領令施行を監督する立場の高官らが事前に相談を受けていなかったと報じたが、ジョン・ケリー(John Kelly)国土安全保障省長官は、自身を含む政府上層部は事前に相談を受けていたとしてこの報道を否定した。
だが国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は大統領令に対する批判を強め、「確実な情報に基づかない盲目の措置は無力であることが多い」と指摘した。
国家安保当局の元職員らは、大統領令は米国が宗教を理由にイスラム教徒との対決姿勢を取っているという誤ったメッセージを与えかねないと警告。米国務省では、外交官らが樹立からまだ1週間しか経たない政権に対して相次いで異議を表明する異例の事態となっている。
さらに、大統領令は事実上、イスラム教徒の入国禁止を目的に難民を「宗教検査」にかけるものだとの批判も集まっている。共和党のラマー・アレクサンダー(Lamar Alexander)上院議員は、「明らかな宗教検査というわけではないが、われわれ米国人の国民性とは一致しないものに迫っている」と指摘した。(c)AFP/Andrew BEATTY