【1月30日 AFP】世界で最も汚職がはびこる国々の一つとされるパキスタンで、清廉潔白な役人たちにスポットライトを当てたリアリティー番組が、腐敗に対して正面から立ち向かっている。

 リアリティー番組「インテグリティー・アイドル(Integrity Idol、正直なアイドルの意)」では、まず市民の代表らが約300人の役人をノミネートし、法執行機関の当局者らが構成する審査員団によってアイドルの候補者を5人まで絞る。

 パンジャブ(Punjab)州で土地登録に関連した収賄に対し、厳しい姿勢で臨んだことが評価されたライ・マンズール・ナシール・フセイン(Rai Manzoor Hussain Nasir)さんは25日、番組のフィナーレでファイナリストの1人に残った。

 ナシールさんはAFPの取材に対し、「土地登録に関係する役人がたとえ1ルピー(約1円)でも要求してきたら、私に電話かメッセージを送ってほしいと住民全員に伝えた」と話した。

 腐敗した役人30人を首にしたというナシールさんは、インターネットなどで投じられた票数2万票超のうち7千票近くを集め、多くの政治家も出席した授賞式で、見事「インテグリティー・アイドル」の称号を獲得。公務以外の旅行にガソリン手当などの特典を利用していなかったことも称賛された。

 ナシールさんを含む5人のファイナリストそれぞれの経歴は、テレビ局「ジオ・ニュース(Geo News)」においてドキュメンタリー形式で全国放送された。(c)AFP