【1月30日 AFP】イスラム教徒の多い中東・アフリカ7か国からの渡航者の米国入国を一時禁止するドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の大統領令を受け、全米各地では29日も抗議デモが繰り広げられた。国際社会からも非難の声が相次いでいる。

 首都ワシントン(Washington D.C.)のホワイトハウス(White House)周辺や、米国の自由と移民の象徴である「自由の女神像(Statue of Liberty)」を対岸に臨むニューヨーク(New York)の公園バッテリー・パーク(Battery Park)には、大統領令に抗議する多くの人々が集まった。

 国内各地の主要空港でも昨日に引き続き抗議デモが行われ、ワシントン、シカゴ(Chicago)、ミネアポリス(Minneapolis)、デンバー(Denver)、ロサンゼルス(Los Angeles)、サンフランシスコ(San Francisco)、ダラス(Dallas)などで合わせて数千人が移民・難民への支援を呼び掛けた。

 米国の同盟国も次々と非難声明を発表。米政界にも衝撃が広がり、トランプ氏叩きの材料探しに余念がない民主党だけでなく、与党である共和党の議員の間でも不安が高まっている。

■キリスト教徒の難民も送還

 トランプ米大統領が27日に署名し発効した大統領令は、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7か国から渡航してきた米国査証(ビザ)保有者の入国を90日間停止するとともに、あらゆる国からの難民の受け入れを120日間停止するというもの。

 大統領令の発令に当たって空港当局や諸外国との事前調整はなかったとみられ、米国内や世界各地の空港で約300人が足止め・拘束されるなど、大きな混乱が生じた。該当国との二重国籍を持つ欧州市民や、永住権カード(グリーンカード)保有者も影響を受け、有効な米国ビザを所持しながら到着した米空港で足止めされた人々は少なくとも109人に上った。

 また、AFPの取材に応じたレバノン・ベイルート(Beirut)の空港当局者によると、米フィラデルフィア国際空港(Philadelphia International Airport)に28日に到着したシリア人6人が米国入国を拒否され、ベイルートに送還された。6人にはキリスト教徒も含まれ、3人は子どもだという。

■「イスラム教徒の排除ではない」

 国内外で批判が高まる中、トランプ大統領は29日、「中東では多数のキリスト教徒が処刑されてきた。この恐怖を続けさせるわけにはいかない!」と約2300万人のフォロワーを持つツイッター(%%Twitter%%)に投稿し、自らの措置の正当性を主張。「わが国には今こそ、強固な国境と徹底的な入国審査が必要だ。欧州で、そして世界中で何が起きているか見てみろ。ひどいありさまだ!」と続けた。

 さらに、公式声明では「はっきりさせておくが、これはメディアが誤って報道しているようなイスラム教徒の排除ではない」「宗教をめぐる措置ではなく、テロとわが国の安全に関する措置だ」などと述べた。(c)AFP/Jennie MATTHEW / with Karim Lebhour in Washington