ドイツが警戒、極右の「帝国市民」運動とは?
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【1月30日 AFP】ドイツでは治安当局が、極右の「帝国市民(Citizens of the Reich)」運動に対する取り締まりを徐々に強化している。帝国市民運動はこれまで長年、不満分子や変わり者の集まりという扱いだったが、ここへ来て脅威を拡大しつつあると認識されている。
運動に関わっているのは、今日のドイツ連邦共和国を否定する陰謀論者やネオナチ(Neo-Nazi)、銃愛好家などの寄せ集めで、統一母体こそ持たないが、極右思想全般が台頭する昨今過激さを増している。
最近ではメンバーが警官に向かって発砲したり、武器や爆発物を備蓄したりする事件も発生。25日には警察官200人が出動して国内12か所を強制捜索し、容疑者2人の身柄を拘束(翌26日に正式逮捕)した。2人は「国家を代表する者として警察官ら、また亡命希望者やユダヤ人コミュニティーに属する人々に対する武力攻撃」を企てていた疑いが持たれている。
■信条は?
帝国市民を名乗る人々は、現在のドイツ連邦共和国の正統性を認めることを拒否。戦前のドイツ帝国(German Reich)の存続を信じ、ナチス・ドイツ(Nazi Germany)の崇拝もみられる。
また今日のドイツを米国の植民地とみなし、1919年に公布されたワイマール憲法(Weimar Constitution)や現在のポーランド領内の広い範囲まで含む国境線が今も有効とする主張もある。
一部の集団は、自ら小国家樹立を宣言し、「ドイツ帝国亡命政府」や「プロイセン自由国家」を自称し、「国旗」を作り、独自の身分証や通貨、切手などを発行している。
概して警察やその他の国家機関の正当性を否定し、税金や社会保険料、罰金の支払いも拒否しているため、当局との衝突に発展することもある。
メンバーらは奇人や変人、「荒らし」といった目で見られることも多く、自治体や裁判所に無数の手紙や苦情、請願や異議申し立てを行うことでも知られている。