【1月26日 AFP】落ち込んだり不安になる頻度が高い人は、がん死リスクが高まる恐れがあるとの研究論文が26日、発表された。

 英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された論文は、英イングランド(England)とウェールズ(Wales)の16万人以上の医療記録を調べた結果、自らに精神的なストレスがあると答えた人に高いがん死リスクがみられたとしている。特に大腸がんや前立腺がん、膵臓(すいぞう)がんでのリスクが目立ったとされ、その他にも白血病や食道がんリスクにも上昇がみられたという。

 ただ、結果は統計的なデータであり、精神状態とがんとの間の因果関係を必ずしも証明するものではないとして、研究チームは慎重な姿勢を示している。

 今回の研究で、英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)のデービッド・バティー(David Batty)氏率いる研究チームは、16歳以上の対象者16万3363人についての長期調査記録16件の未加工データを調べた。

 対象者は平均約10年間経過観察されていたが、このうち4300人以上ががんで死亡している。

 研究では、未加工データを分析して、精神的なストレスレベルや生活習慣、がんの発生率について調べた。

 その結果、ストレスを感じると答えた対象者のがんによる死亡率は、その生活習慣にかかわらず、結腸がんで約2倍、すい臓がんと食道がんでは2倍超となった。白血病ではさらに高かった。

 うつ状態になるとホルモンバランスが崩れ、コルチゾンの値が急増したりDNAの修復機能が抑制されたりすることが知られている。これらはともに、がんに対する防御機能を弱めるものだ。しかし、気分が落ち込むと喫煙や飲酒の量が増え、肥満にもなりやすい。これらの因子についても、がんリスクの増加に関係していることが分かっている。

 研究チームは、これらの精神的な問題について、がんの原因ではなく結果である可能性も排除できないとしながら、より正確な関連性を知るためにはさらなる研究が必要と述べている。(c)AFP