【1月25日 AFP】「ディオール(Dior)」の新アーティスティック・ディレクターであるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)がフランス・パリ(Paris)で23日、息をのむようなオートクチュールコレクションのデビューを果たし、彼女が誰よりも適任だということを示した。

 昨年よりフランスの伝説的メゾンを引き継いだイタリア人デザイナーによるこのスタートは、あらゆる意味でおとぎ話のようだ。魔法をかけられたような森の迷宮が作られ、そこに飾りやライトで彩られたツリーが現れた。そんな会場の中、夢のようなイブニングドレスが次々と登場する。写真では、そのドレスの感情に訴えかけてくるような効果やびっくりするほど精巧なディテールを完全に伝えることができないかもしれない。

「ニューヨークタイムズ(New York Times)」の評論家、ヴァネッサ・フリードマン(Vanessa Friedman)は「透き通るようなロマンス」とツイート。ショーの最後には黒のベールを合わせ、プリーツをあしらったゴールドのラメドレスが登場し、それはまるでウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)シェイクスピアの「真夏の夜の夢(A Midsummer Night's Dream)」に出てくる妖精の女王、タイテーニアの衣装のようだ。彼女の同僚であるエリザベス・ペイトン(Elizabeth Paton)も、そのルックがアカデミー賞のレッドカーペットにふさわしいと提案。ほかにもルネッサンス風のビスチェと合わせたチュールのドレスのシリーズは魔法のようだった。

 キウリは昨年、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)と30年ものタッグを解消し、「ヴァレンティノ(Valentino)」から「ディオール」へと移籍。メゾンの有名な創始者であるクリスチャン・ディオール(Christian Dior)のアーカイブに没頭したのだとAFPの取材に答えた。

■夜通し踊るためのドレス

 中にはタロットや魔術のシンボルをコレクションに取り入れ、12星座を刺しゅうした白と黒のドレスも登場。「クチュールは魔法のようでありながら、実際に着られるものでなくてはならない」とキウリは語る。そのためすべてのドレスはローヒールと合わせ、幸運にもそのドレスをまとう女性らが舞踏会で一晩中踊れるようにしたという。

 オートクチュールは、すべてがパリでハンドメイドにより作られている。とくに賞賛を浴びたグリーンのチュールドレスには印象派の絵画風の花が羽根で描かれていたが、それらは実に2,200時間かけて作られたとメゾンは明かした。(c)AFP/Fiachra GIBBONS