わい小銀河群を初観測、ダークマター解明の手がかりに 研究
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■ダークマターの探求
天文学者らは10年前の時点で、わい小銀河をわずか十数個しか確認できていなかった。
その後、望遠鏡の大型化によって発見件数は増えたが、見つかったわい小銀河は孤立した「散在銀河」か、より大型の銀河に共食いされている「伴銀河」のどちらかのタイプだった。
スティルウォルト氏は、「今回発見されたような、低質量の銀河のみで構成される独立した銀河群により、銀河系などのより大型の銀河に関して起こり得る形成メカニズムが明らかになる」と指摘。地球から2億光年~6億5000万光年の距離にあるこれらの銀河群について、「この距離は非常に大きいように思われるが、宇宙の途方もない大きさを考えれば、比較的近くだ」と話した。
研究チームは、「スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(Sloan Digital Sky Survey、SDSS)」として知られる観測計画の下で作成された巨大な星図データベースを詳細に調べることで、今回のわい小銀河群を発見した。SDSSのデータは2008年に公表され、その後定期的に更新されている。
研究チームはその後、この発見を検証するために、チリ・ラスカンパナス天文台(Las Campanas Observatory)のウォルター・バーデ望遠鏡(Walter Baade Telescope)などの世界各地の望遠鏡を使用して観測を行った。
また、宇宙の4分の1を構成すると考えられている正体不明の「暗黒物質(ダークマター)」について、わい小銀河群がその理解を深めるための自然の実験室となることが、今回の研究では明らかになっている。
未知の素粒子で構成されている可能性が高いダークマターは、宇宙の他の天体に及ぼす重力を通じてのみ検知される。見たり触れたりできる可視的な物質は、宇宙の約5%を構成しているのみとなっている。
わい小銀河群は、ダークマターを理解するための探求において、二重の意味で興味深い天体だ。
より大型の銀河に比べて「わい小銀河には、はるかに大量のダークマターが存在する傾向がある」と、スティルウォルト氏は説明する。銀河群は、ダークマターの重力によって一つにまとまっているのだ。
さらには、わい小銀河は比較的年齢が古いため、ガスや塵(ちり)などの「デブリ」をほとんど含まないので、何にも遮られずにダークマター探しを行うことができる。(c)AFP/Marlowe HOOD