英政府が核ミサイル試験失敗を隠ぺいか、計画更新の採決直前
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【1月23日 AFP】英国政府が昨年、米国沖で行った潜水艦発射型戦略核ミサイル「トライデント(Trident)」の発射試験の失敗を隠ぺいしていたと、英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が22日に報じた。英下院ではこの試験の数週間後にトライデント・システムの更新計画が採決にかけられ、可決されていた。
テリーザ・メイ(Theresa May)首相は、試験失敗について知っていたかどうか英BBCのインタビューで問われ、明言を避けた。
メイ氏は試験実施時にはまだ首相ではなかったが、7月19日に下院で更新計画が採決にかけられる直前に首相に就任し、老朽化したトライデント搭載潜水艦を新型と交換する必要性を議会で強く主張。計画更新費用として410億ポンド(約5兆8000億円)の予算承認を勝ち取っている。
サンデー・タイムズが英海軍高官の話として伝えたところによると、昨年6月に米フロリダ(Florida)州沖で英潜水艦から「トライデントII D5」を発射する試験を行ったが、失敗したという。
この高官は、失敗の原因は最重要機密だとしつつ、発射されたミサイルが予定軌道を外れ、米本土の方角へ飛んだ可能性があると示唆している。
「わが国の核抑止力(トライデント)の4年ぶりの発射試験が大失敗に終わり、政府と軍の上層部は大きなパニックに陥った」と、この高官は指摘。「結局、英政府は失敗した試験の存在を隠ぺいする決定を下した。この情報が公になった場合、わが国の核抑止力の信頼性にどれほど大きな傷が付くか分かっていたからだ」と述べたという。
かねて核兵器反対の姿勢を表明している野党・労働党のジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首は、ミサイルが誤った軌道に向かったのは非常に破滅的な誤り」だとの見方を示している。(c)AFP