【1月23日 AFP】(写真追加)イタリア中部ペスカーラ(Pescara)県でホテルが巻き込まれた大規模な雪崩で、救出された生存者が22日、生き埋めになっていた間の苛酷な状況について語った。大破した建物のがれきの間にできた狭くて真っ暗な空洞で身を寄せ合いながら、水分を補給するために雪を食べ、歌って励まし合ったという。

 18日に発生した雪崩の直撃を受けたのは、同県ファリンドラ(Farindola)村近郊にあるホテル・リゴピアノ(Hotel Rigopiano)。依然として23人が行方不明となっており、凍える寒さの中、がれきに埋もれた人たちの生存を示す兆候が最後に確認されてから48時間以上が経過している。

 警察当局の算出によると、今回の雪崩の威力は、積荷を満載した連結トラック4000台が時速100キロのスピードで急斜面を下った場合と同程度だという。

 これまでに救出されたのは成人5人、子ども4人で、救助隊が発見するまで40時間生き埋めになっていた。

 生存者の1人、学生のジョルジャ・ガラシ(Georgia Galassi)さん(22)は発見されたとき「私はジョルジャです。生きています」と救助隊に伝えたという。「これまでに私が発した言葉の中で最も素晴らしいものだった」とガラシさんは振り返った。

 恋人と一緒に生き埋めになっていたガラシさんは、当時の状況について「真っ暗闇で、唯一聞こえたのは近くにいた人たちの声の反響だけだった」と話した。ガラシさんたちは携帯電話のバッテリーが切れる前にライトを使い、4つの空洞に生存者がいることを確認した。

 一人きりで閉じ込められていたフランチェスカ・ブロンツィ(Francesca Bronzi)さんは、大きな木の梁(はり)があったために立ち上がることができなかったという。「完全な密閉状態だったけど、最悪だったのはのどの渇きで、氷や汚ない雪で何度も唇を濡らした」と述べた。

 ガラシさんは、彼女の恋人が生存者たちのリーダーのようになり、人々の気力が衰えるたびに歌っていたと明かした。「彼が私たちをずっと元気づけてくれ、力を与えてくれた」とガラシさんは言う。「私は箱の中に閉じ込められたように感じて、たくさん泣いた」(c)AFP/Ella Ide with Angus Mackinnon in Rome