【1月21日 AFP】ロシアのドーピング問題における重要人物であるビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相が、スポーツ選手の性交渉が、ドーピングテストの結果をねじ曲げる原因になると語った。

 スポーツ界に世界的な論争を巻き起こす中、スポーツ相から副首相に格上げとなったムトコ氏は、性交渉後の数日間は女子選手の体内に「男性のDNA」が残留すると述べた。

 ロシア紙スポーツ・エクスプレス(Sport Express)が19日午後に報じたコメントの中でムトコ副首相はロシア人選手が不当に罰せられているとし、検査に通らなかった女子選手を擁護した。

 同紙は、「薬物を摂取している女性とキスする選手もいるだろう。外国人(選手)はそういったことに基づいて復権できるが、ロシア人選手は罰を科される。仮にドーピング検査の5日前に性交渉を持った場合、男性のDNAが検出される」というコメントをムトコ副首相の言葉として報じた。

 昨年12月にカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏が公表した報告書では、2014年ソチ冬季五輪の開幕前と開催中に、ロシアが国家ぐるみでドーピングを行っていたとされている。

 その報告書の中では、取り替えられた女子アイスホッケーの2選手の検体には男性のDNAが含まれていたという。

 陸上男子の棒高跳び選手ショーン・バーバー(Shawn Barber、カナダ)や、男子テニス選手のリシャール・ガスケ(Richard Gasquet、フランス)は、ともにコカインを摂取した女性とキスしていたとして、同禁止薬物の陽性反応が出たものの罰則を回避している。

 ムトコ副首相は、「ある男、自分の都合が良いように情報を操作する人物(組織的ドーピングを告発した同国反ドーピング研究所のグリゴリー・ロドチェンコフ〈Grigory Rodchenkov〉元所長)の発言に基づいたもの」だと語り、国家ぐるみのドーピングを証明していないとマクラーレン報告書を再びをはねつけている。(c)AFP