【1月20日 AFP】米有権者によるニュース消費に関するある調査論文が、「偽ニュース」のために米大統領選の結果が変わったことはおそらくなかったと報告した。ただし、調査対象となった人の約15%が偽ニュースを見たと答え、8%の人が目にした偽ニュースを信じたと答えるという問題をはらんだ結果となった。

 調査報告書は今週、ニューヨーク大学(New York University)のハント・オルコット(Hunt Allcott)氏、スタンフォード大学(Stanford University)のマシュー・ジェンツコウ(Matthew Gentzkow)氏および全米経済研究所(National Bureau of Economic Research、NBER)の研究者らにより公開された。

 研究者らは、偽ニュースの消費は広範にわたったが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領がヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官に勝利した決定的要因だった可能性は低いと結論付けた。

 研究者らによれば、偽ニュースによって有権者人口の0.51%が投票する候補を変えたとの結果が出れば、選挙は偽ニュースに左右されたと言えるが、実際にはそうはならなかった。ソーシャルメディアは多くの人にとって重要なニュースソースだったが、一番重要な情報源だったわけではないと研究者らは結論付けた。

 一方、交流サイト(SNS)フェイスブック(Facebook)上では、トランプ氏支持者による偽ニュースの共有度はクリントン氏支持者の約3倍で、トランプ氏支持者3030万シェアに対し、クリントン支持者760万シェアだった。

 SNS世界最大手のフェイスブックは偽ニュース拡散の元凶との批判を退けているが、米大統領選のあった昨年11月以降、誤情報や作り話の拡散抑制のための処置を講じている。

 この調査は米国の成人1208人を対象に、11月8日の米大統領選から3週間後の11月28日の週にオンラインで行われた。(c)AFP