【1月19日 AFP】米企業家イーロン・マスク(Elon Musk)氏が提唱する超高速交通システム「ハイパーループ」構想を追求している米国の新興企業ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズ(HTT)は17日、欧州の2都市間を結ぶ同システムの実現可能性を調査することで合意したと発表した。

 HTTによると、同社とチェコのブルノ(Brno)市は、スロバキアの首都ブラチスラバ(Bratislava)までを結ぶハイパーループについて「予備的な合意」に達したという。チェコの首都プラハ(Prague)までをハイパーループでつなぐことがより大きな展望との共同声明が発表された。

 ブルノ市のPetr Vokrall市長は「次世代の旅客輸送システムによるブルノ─プラハ間の接続、そしてブラチスラバとその地域の他の都市での既存の取り組みが、新時代を開くに違いない」と述べている。

 HTTによると、同社はハイパーループ交通システムのための統一ルールの制定に向けて、スロバキアやアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ(Abu Dhabi)とその他の都市当局者らと連携した取り組みを進めているという。

 HTTのダーク・アルボーン(Dirk Ahlborn)最高経営責任者(CEO)は「HTT側では、技術的な問題はすべて解決されているので、今後は各国の政府機関との連携が不可欠となる」としながら、「スロバキアやUAE、その他の進出予定国でハイパーループ交通システムの建設を開始する中で、新たな規則と枠組みの作成が必要となる」と続けた。

 HTTは2013年末にクラウドファンディング・プラットフォームの「ジャンプスタートファンド(JumpStartFund)」から誕生した。同社の協力企業には、英建築設計大手アトキンス(Atkins)やドイツ鉄道(Deutsche Bahn)などが名を連ねている。

 HTTと競合する米新興企業ハイパーループ・ワン(Hyperloop One)も今月、ハイパーループの試験走行を行うために挙がっている世界の候補地一覧を公表したばかり。

 それぞれ1億ドル(約114億円)以上の投資を集めているHTTとハイパーループ・ワンの両社は、米電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズ(Tesla Motors)と米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の最高経営責任者(CEO)である大富豪のマスク氏が描いた構想を土台に事業を進めている。

 ハイパーループは、乗客が乗るカプセルを減圧された円筒内部でレールに沿って時速1200キロで走らせるシステムだ。(c)AFP