習主席、保護主義に警鐘 トランプ新政権にらみ、ダボス会議で講演
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【1月18日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は17日、スイス・ダボス(Davos)で開幕した世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演し、世界が抱える諸問題の責任をグローバル化に転嫁したり、保護主義の殻に閉じこもったりするべきではないと警鐘を鳴らした。米新大統領への就任を数日後に控えたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏とは異なる世界経済像を打ち出した形だ。
米国は数十年にわたり世界の経済秩序をけん引してきたが、トランプ次期大統領はこれまでの慣習を破り捨てることも辞さない構えを示している。これに対し習氏は、初めて出席したダボス会議の場で、グローバル化の流れに逆行はできないと訴えた。
習氏は中国の民話や、英作家チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の著作、エーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)元米大統領の「ゲティスバーグ演説(Gettysburg Address)」からの引用をちりばめた講演の中で、「保護主義を追求するのは、暗い部屋に閉じこもるようなものだ。風雨はしのげるかもしれないが、光と空気も遮断してしまう」と述べた。
英国が欧州連合(EU)からの離脱を予定し、極右政党が台頭し始めた欧州大陸の中心部に立った習氏は、世界の資本、技術、物や人の流れを逆行させることは「不可能」だと主張。
さらに、中国は今後も「門戸を開き」、新興国がグローバル化の恩恵を受けられるよう後押ししていくと言明。同時に、トランプ氏が脱退を示唆している地球温暖化対策の新たな国際的枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を支持する意向を示した。
また、「世界の諸問題を経済のグローバル化のせいにするのは無意味だ」と指摘し、2008年に欧米を襲った金融危機の原因は自由貿易ではなく、圧倒的な規制不足にあったという中国の見方を強調した。
習氏はこの講演で、会場に集まった各国や各界の首脳、著名芸能人らの多くから喝采を浴びた。(c)AFP/Jitendra JOSHI / with contributions from AFP Beijing