【1月16日 AFP】東南アジアで初めて心臓移植手術を受けたシンガポール人男性が15日、76歳で死去した。遺族が翌16日に発表した。術後31年以上が経過しており、移植後世界で最も長く生きた患者の一人となった。

 元新聞編集者だったシンガポール人男性、シア・チェン・ニー(Seah Chiang Nee)さんの妻がAFPに明かしたところによると、シアさんは昨年7月から病院に入院しており、15日に亡くなったという。

 シアさんは1985年10月12日、オーストラリアのシドニー(Sydney)で心臓移植手術を受けた。5時間半におよぶ手術では、シアさんの心臓を摘出後、死亡直後の17歳少年の心臓が移植された。

 マウント・エリザベス・ノベナ病院(Mount Elizabeth Novena Hospital)の心臓医、ケネス・エング(Kenneth Ng)氏は、「カルテによると、術後世界で最も長く生存できたケースの一つだったはずだ」と述べるとともに、「心臓移植後の生存期間の中央値はわずか10年…よって間違いなく最長レベルだ」としている。

 英メディアの報道によると、心臓移植後に世界で最も長生きしたのは英国人男性のジョン・マキャファーティ(John McCafferty)さんで、昨年73歳で死去するまで、術後33年間生きたという。

 シアさんは術後20年が経過した2005年、AFPとのインタビューに応じ、術後4~5年生きられたら満足だったと話した。また、新たなミレニアム(千年紀)を迎えることができるとは想像だにしなかったとし、「20年は長い長い時間だ。私はすでに感謝でいっぱいの気持ちだ」と答えている。(c)AFP