【1月10日 AFP】野鳥のアメリカウズラシギは、できる限り多くの個体と交尾をする目的で、約1か月間の繁殖期に最大1万3000キロを移動していることが分かった。研究論文が9日に発表された。この鳥は、体長約21センチ、体重約100グラムと街中にいるハトよりも小さい。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、アメリカウズラシギのオスは、約4~6週間の繁殖期に米アラスカ(Alaska)州北部の「繁殖地」を複数訪れていることが確認されたという。最も多いケースでは24か所にも上った。こうした行動は、これまでに観察されたことがない。

 研究で確認された平均的な移動距離は4週間で3000キロ程度。これは、仏パリ(Paris)と露モスクワ(Moscow)間の距離よりも長い。しかし、中には1万3045キロを移動した個体もあった。しかもこの交尾のための行動は、越冬地である南米地域からの移動直後にみられるのだという。

 研究は、無線タグを付けた個体120羽の追跡結果を基に行われた。

 論文の共同執筆者で、独マックス・プランク鳥類学研究所(Max Planck Institute for Ornithology)のバート・ケンペナース(Bart Kempenaers)氏は、「これまでは、鳥(オスとメス共に)が越冬地から、前年の繁殖地1か所のみに向かって移動すると考えられていた」と述べている。

 研究論文によると、最も繁殖に成功したオスのケースでは、6羽のメスとの間に22羽の雛が誕生したことが確認されている。(c)AFP