【1月9日 AFP】米アップル(Apple)のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の誕生から9日で10年となった。誕生以降、スマホは世界に変化を与え続けているが、当のアップルには次なる一手が求められている。

 同社の共同創業者、故スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が2007年1月9日に発表したiPhoneは、モバイル・コンピューティングとそれを中心とする関連産業に舞台を提供した。

 スマホ市場は当時、カナダの携帯情報端末大手ブラックベリー(BlackBerry)のキーボード付き端末に独占されていたが、アップルはMP3プレーヤー「iPod(アイポッド)」の成功を基に、タッチスクリーンを備えたスマートフォンを開発した。

 ジョブズはiPhone開発のアプローチについて、リベラルアーツとデザイン、テクノロジーの融合と説明した。

 アプリに重点を置くiPhoneが、ツイートや画像投稿、スマーホ向け拡張現実ゲーム「ポケモンGO(Pokemon Go)」、ライブストリーミング動画などにユーザーを急速に向かわせることになろうとは、当時は誰も予想していなかった。

 米調査会社ガートナー(Gartner)のブライアン・ブラウ(Brian Blau)氏は、米ラスベガス(Las Vegas)で8日に閉幕した世界最大級の家電見本市「国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(International Consumer Electronics Show、CES)」で、「アップルはアプリを通じて、モバイルコンピューティングのプラットフォームを消費者のポケットの中に持ち込むことを可能にした」とAFPの取材に語った。

 スマホは、バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)でも大きな役割を演じている。ヘッドセットに装着された端末がスクリーンとして利用されているのだ。

 アップルはCESには不参加だが、iPhoneとの同期が可能な「インフォテインメント(情報と娯楽の融合)」システムを搭載した自動車をはじめ、モバイルアプリでの操作が可能なスマートホームネットワークやiPhoneの機能を真似た他社のスマートフォンなどが出品され、流行の仕掛け人としてのその影響力が至る所で感じられた。

 その一方で、2011年のジョブズ氏死去により斬新さを失ったアップルに、次の「大作」が期待されているのも事実だ。現在進行中と噂されるプロジェクトの一つには、自動運転車もある。

 同社の今後についてブラウ氏は、「彼らは次の大作を生み出すだろう。だが同社の未来はもっと小規模な革新にかかっている。そういう事業は悪いものではない」と指摘している。(c)AFP/Glenn CHAPMAN