【1月5日 AFP】宇宙のかなたから飛来する謎の電波の正確な発生源を初めて突き止めたとの研究結果が4日、発表された。「高速電波バースト(FRB)」と呼ばれるこの現象が発見されたのは、わずか10年前のことだ。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された研究論文によると、2016年に米ニューメキシコ(New Mexico)州にある望遠鏡で観測されたFRBは、地球から約30億光年の距離にある小型の銀河(わい小銀河)から発せられた可能性が高いという。

 人の目には見えないフラッシュ現象である高速電波バースト。ほんの一瞬の現象だが、1000分の1秒間に放射するエネルギー量は、太陽放射の1万年分に匹敵する。

 電磁スペクトルで最も波長が長い側の電磁波の、これほど高エネルギーのうねりを引き起こしているものの正体をめぐっては、今なお激しい議論が続いている。

 今回の最新の発見によって、この問題がすぐに解決されるわけではないが、これまでに候補に挙がっていた説のいくつかは決定的に排除されると、科学者らは指摘した。

 FRBは2007年以降に18回記録されているが、2012年に米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)にあるアレシボ天文台(Arecibo Observatory)で観測され、「FRB 121102」と命名された1例のみ、複数回の再発が確認されていた。

 米コーネル大学(Cornell University)のシャミ・チャタルジー(Shami Chatterjee)氏率いる研究チームはこの観測結果を受けて、FRB 121102がまた再発するのではという見込みを立てた。

 この考えは功を奏した。過去にFRBを発見したどの電波望遠鏡よりも強力なカール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)は、6か月にわたる延べ83時間に及ぶ観測で、特徴的なパルスを9個検出した。

 チャタルジー氏は、声明で「この特異な爆発的電波の発生源が、地球から30億光年以上の距離にあるわい小銀河であることが分かった」と述べている。