【12月27日 AFP】アフガニスタンで初の女性パイロットとなったニロファル・ラフマニ(Nilofar Rahmani)さん(25)が米国での訓練を終えた後、同国に亡命を申請したことを明らかにし、アフガニスタン国内では政情不安や女性の権利、若者の大量流出といった問題への国民的議論をあおる出来事として衝撃が広がっている。

 米軍のエースパイロットを描いた米映画「トップガン(Top Gun)」にちなみ「アフガニスタンのトップガン」と呼ばれてきたラフマニさんは、15か月にわたった米空軍での訓練コースを終えて先週、アフガニスタンへ帰国する予定だった。しかし帰国の前日、ラフマニさんは自分の身の安全に懸念を感じていることを理由に、帰国しないと宣言。アフガニスタン国内では、国を「裏切った」とする批判が巻き起こる一方、人権活動家などからは支持する声が上がっている。

 アフガニスタン国防省のモハマド・ラドマネシ(Mohammad Radmanesh)報道官はAFPに対し「米国での彼女の発言は無責任で予想外だ。彼女は若いアフガニスタン人の手本となるはずの人物だったのに。彼女は国を裏切った。残念だ」と述べた。

 ラフマニさんは2013年、アフガニスタンのタリバン(Taliban)旧政権以降、初めて固定翼機のパイロットになった女性として、戦闘用ブーツにカーキ色のオーバーオール、パイロット用サングラスを着用してメディアに登場。何百万というアフガニスタン人女性たちの希望の象徴となった。しかし有名になったことで、反政府勢力から殺害脅迫が届くようになり、いまだに女性は家から出るべきではないと考える人が多い保守的な国で、男性の同僚から侮辱されることも常だった。

 昨年AFPが首都カブール(Kabul)で行ったインタビューでラフマニさんは、自分の身を守るために常に拳銃を携行していることや、男性たちによる性的なまなざしには慣れているが、標的とならないよう、空軍基地から出るときは制服を一切着用したことがない、などと話していた。(c)AFP/Anuj CHOPRA