【12月28日 AFP】2016年のラグビー界は、復活を遂げたイングランドがオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)とともに席巻。2017年に予定されているブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(British and Irish Lions)のニュージーランド遠征は、明るい兆しをみせている。

 両チームはそれぞれの方面から今年のラグビー界をけん引し、テストマッチではともに13勝を記録。ニュージーランドは今年11月に米シカゴ(Chicago)で行われたアイルランド戦で敗れるまで、2015年から続いていた連勝記録を史上最多の18に伸ばした。一方、イングランドは1992年以来の全勝を記録して一年間を締めくくっている。

 2016年のオールブラックスは、象徴的存在だった主将のリッチー・マッコウ(Richie McCaw)を筆頭に、W杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)で大会連覇に貢献したダン・カーター(Dan Carter)、ケベン・メアラム(Keven Mealamu)、コンラッド・スミス(Conrad Smith)、マア・ノヌ(Ma'a Nonu)ら中心選手がチームを去ったことで、評論家から戦力ダウンが指摘されていた。

 それでも、南半球4か国対抗戦のザ・ラグビーチャンピオンシップ(The Rugby Championship 2016)でオールブラックスは、1試合平均44得点を記録したほか、満点の勝ち点30を獲得するなど圧倒的な強さを発揮し、2試合を残して優勝を決めた。なかでも、ワラビーズを相手に得点を量産して42-8で勝利した一戦と、南アフリカを相手に敵地では最大点差となる57-15で圧勝した試合は圧巻だった。

 昨年のW杯には出場しなかった選手20人を擁してシーズンに臨んだオールブラックスのスティーブ・ハンセン(Steve Hansen)HCは、「今年のチームを振り返ると、負けたのはわずか1試合で、疲労が蓄積していたシーズン終盤の重圧に立ち向かいながらも素晴らしいラグビーを披露した。チームをとても誇りに思う」と語った。

 ニュージーランドは素晴らしい才能を持つ選手を絶え間なく輩出し続けている。どれほどの国がカーターをはじめ、ノヌやスミスといった才能あふれる経験豊かなバックス陣を失ってもやっていけるだろうか?実際、ボーデン・バレット(Beauden Barrett)、アントン・レイナートブラウン(Anton Lienert-Brown)、マラカイ・フェキトア(Malakai Fekitoa)、ライアン・クロッティ(Ryan Crotty)らには、オールブラックスの選手として風格が備わってきたようだ。

 引退後に民間ヘリの操縦士に転向したマッコウ氏に代わり、オールブラックスの冷静な主将の任務はキアラン・リード(Kieran Read)が担い、明るいムードメーカーはマッド・トッド(Matt Todd)やサム・ケイン(Sam Cane)、リアム・スクワイア(Liam Squire)らが引き継いだ。