【12月25日 AFP】(訂正)44年前の旅客機爆破事件で、上空約1万メートルから地上に落下したが奇跡的に生還したセルビア(旧ユーゴスラビア)の元客室乗務員ベスナ・ブロビッチ(Vesna Vulovic)さんが死去した。66歳だった。同国のタンユグ(Tanjug)通信が24日伝えたところによると、首都ベオグラード(Belgrade)の自宅アパートでブロビッチさんが死んでいるのを、友人が発見した。死因は不明。

 1972年1月26日、当時22歳だったブロビッチさんは、チェコのスルブスカーカメニツェ(Srbska Kamenice)上空を飛行中に爆弾によって爆破された、旧ユーゴスラビアのJATユーゴスラビア航空(JAT Airways)のDC-9型旅客機に客室乗務員として搭乗していた。

 ブロビッチさんは爆発で空中分解した機体の後部に閉じ込められたまま、上空1万160メートルから山の斜面に落下したとみられ、他の乗客乗員が全員死亡した中で唯一の生存者となった。

 ブロビッチさんは1か月近く意識不明の状態が続き、腰から下が一時まひするなどして、病院に長期入院した。後に、パラシュート無しで落下した距離が世界最長記録だったとしてギネス世界記録(Guinness World Records)に認定された。

 爆破された機体は、スウェーデンの首都ストックホルム(Stockholm)を出発し、旧ユーゴスラビアで現在はクロアチアの首都であるザグレブ(Zagreb)に向かっていた。爆弾はクロアチアの分離主義グループによって仕掛けられたものだった。(c)AFP