「表現の自由」を武器に社会変革を、ミャンマーのヘビーメタル
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【12月30日 AFP】ミャンマーのヘビーメタルバンドは、半世紀に及んだ軍事政権によって音楽活動ができない状態が続いていた。そして民主化された今も、仏教徒が多い保守的なこの国では白い目で見られることが多い。
同国のヘビーメタルバンドは長らく、厳しい検閲によって口をふさがれてきた。反体制的なミュージシャンは投獄され、拷問を受けることも多かった。
90年代、アンダーグラウンドで活動をしていたロックミュージシャンたちは禁止されていた音楽のカセットテープやCDを密輸入し、悪名高い当局の目を逃れながら成長していった。
軍政が終わった今、ミャンマーの芸術世界がようやく開花の時代を迎えているにもかかわらず、ヘビーメタルはいまだに敬遠されている。国民の大半は甘いポップスやラブソング、あるいは欧米のヒップホップのカバー曲を好んでいるためだ。
東欧やロシアの圧政的な社会主義政権と同じように、ミャンマーの軍事政権もヘビーメタル音楽のアナーキスト(無政府主義者)的なエネルギーを恐れていた。
赤や黒が強すぎるアート作品から、歌詞で「バラ」に触れた曲まで、政府が革命の火種になりそうだと感じた芸術はすべて検閲の対象となって禁じられた。「バラ」は民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏を指していると思われていた。
「メタルは愛を歌う音楽ではない」と、ギターを教えるミョー・ミン・トゥー(Myo Min Thu)氏は言う。「私たちはキリスト教も仏教も批判できなかった。当時の政治は最悪で、歌詞にはとても苦労した」。彼の教室には、アイロン・クロス(Iron Cross)やメタリカ(Metallica)など米国のロックバンドのポスターが張られている。