次はイドリブか ―「野外刑務所」の恐怖におびえるシリア避難民
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【12月23日 AFP】シリア北部アレッポ(Aleppo)東部を反体制派から奪還し、市内全域を制圧した政府軍の次の標的は、避難民が大量に流入して「野外刑務所」と化した隣県のイドリブ(Idlib)ではないか――。シリア各地の故郷を追われてイドリブに逃げ込んできた人々は今、そんな恐怖を抱えて暮らしている。
反体制派が支配するイドリブは、反体制派の戦闘員や民間人らの避難先となっている。直近では、政府軍との合意によってシリア第2の都市アレッポ東部から退去した反体制派2万5000人余りの大半が、親類の家や避難民施設を目指してイドリブ県へ向かった。
しかし、イドリブに身を寄せた人々は、人口の過密化と物価の急騰が悩みの種だと話す。
イドリブ県の県都イドリブは、2015年3月以降、イスラム系反体制武装組織「アハラール・アルシャーム(Ahrar al-Sham)」とイスラム過激派組織「シリア征服戦線(Jabhat Fateh al-Sham)」(旧アルヌスラ戦線、Al-Nusra Front)を中心とした反体制派同盟が支配している。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、シリア内戦が始まってからの6年弱でイドリブに流入した国内避難民は推計70万人に上る。
■「ガザと同じ」「第2のアレッポ」
避難民の殺到は、住民の生活にとてつもなく大きな影響を及ぼしている。家賃や基本的な食品の価格が急騰し、物不足が日常となりつつある。
避難民の男性が住まいと食料を確保するには、反体制派の組織に所属して戦い続けるほか道がないことも珍しくない。
イドリブで食料品店を営む男性は、新たな避難民が到着した後、イドリブが「いつでも閉鎖してしまえる巨大な野外刑務所」と化すことを恐れていると語った。「もしそうなれば、イドリブは(イスラエルに封鎖された)ガザ地区(Gaza Strip)のようになる。(バッシャール・アサド<Bashar al-Assad>大統領の)政権は、われわれを抹殺しにかかるだろう」
他の住民もこの意見に同意している。地元の地主の男性は、「アサド政権は革命派や反体制派を一か所に集めて、一網打尽にしたいんだ」と語った。
国連(UN)のスタファン・デミストゥラ(Staffan de Mistura)シリア問題担当特使は前週、イドリブについて、アレッポと同様に戦闘が激化する恐れがあると指摘。「政治的合意や停戦がなければ、イドリブは第2のアレッポになるだろう」と警鐘を鳴らしている。(c)AFP/Omar Haj Kadour