【12月21日 AFP】(更新)ドイツの首都ベルリン(Berlin)のクリスマス市にトラックが突入し12人が死亡した事件で、容疑者として拘束されていたパキスタン人難民申請者の男性が20日、証拠不十分で釈放された。検察当局が発表した。捜査当局は現在、逃走中の真犯人の行方を追っている。

 連邦検事当局は声明で、「2016年12月19日に起きたベルリンのクリスマス市襲撃をめぐり拘束されていた容疑者は、連邦検事の指示により今夜、釈放された」と発表。さらに、「これまでの科学捜査では、容疑者とされた人物が事件発生当時、問題のトラックの運転席にいたことを示す証拠が見つからなかった」としている。

 警察当局はこれに先立ち、男性が事件の犯人ではない可能性があるとの見解を示していた。ベルリン警察のクラウス・カント(Klaus Kandt)署長は、「危険な犯罪者が付近にいるかもしれない」と述べ、警備体制の強化を約束するとともに、市民らに「いっそうの警戒」を呼び掛けた。

 事件では、ポーランドでナンバー登録され鉄鋼建材を積載していたトラックが観光名所のクリスマス市に突っ込み、60~80メートルに及び血の帯を残した。

 当局によると、犠牲者のうち少なくとも6人はドイツ人。負傷者は約50人で、イスラエルやスペインを含む各国の出身者が含まれていたとされる。

 トマス・デメジエール(Thomas de Maiziere)内相によると、トラックの助手席からはポーランド人男性が射殺体で発見された。男性は同車両の運転手として登録されていた人物とみられている。(c)AFP