【12月17日 AFP】仏パリ(Paris)を今週初めて訪れた観光客は、ありがたくないことにフランスのストライキ文化を経験した。エッフェル塔(Eiffel Tower)が4日間にわたって閉鎖され、大勢の来場者をがっかりさせた。

 コンピューター・プログラマーのポール・フリーマンさん(46)は、エッフェル塔の従業員らによる4日間のストライキの告知を読むと「素晴らしい。これがフランスを満喫するということか」と皮肉を込めて語った。シンガポールから訪れたという主婦のエイミー・リーさん(50)はチケット売り場で、エッフェル塔の経営陣を非難するプラカードなどを掲げた従業員が集まる光景を携帯電話で撮影しながら「シンガポールだったら(ストライキは)違法。これは面白い」と語った。

 ストライキの陣頭指揮を執る「フランス労働総同盟・労働者の力(CGT-FO)」といった急進左派系労組の組合員らは、通りかかる来場者に謝罪し、観光客のことは最大限考えて行動しているとして理解を求めた。

 300人の労働者が3手に分かれて行ったこのストライキによって、今年フランスで最も多くの観光客が訪れた観光地エッフェル塔の営業は妨害された。今週行われたこのストライキは、賃上げや労働条件の交渉や、人員削減への抗議が目的ではない。フランスの労働法は、フルタイム労働者の解雇を極めて困難にしていることに加え、労組の代表者との対話を経営陣に厳しく義務付けている。CGTのドニ・ババッソーリ(Denis Vavassori)代表はAFPに対し「数か月間にわたり、対話が行き詰まっている」と述べ、従業員らは経営陣の来年の計画を知りたがっていると語った。

 経営陣が検討中のプロジェクトの中には、塔の塗料のはがれた部分を修繕するために、塗料を完全に除去してから再度塗り直すという大掛かりなものもある。ババッソーリ氏は「(塔を取り囲んでいる)シャンドマルス(Champ de Mars)公園から見ると悲惨だ」と述べ、古い塗料で従業員らに鉛汚染の被害が及ぶことを懸念していると語った。他の懸案としては、壊れたままになっている昇降機の取り換えに関する選択や、オンラインでチケットを購入する客が増えていることによるチケット売り場係の不安などがあるという。

 エッフェル塔開発公社(SETE)は16日、「対話は継続している。SETEは改めてすべての来場者に謝罪する」との声明を発表した。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT