【12月13日 AFP】20世紀に全世界の山岳氷河の融解が進んだのは、地球温暖化が原因であるとする研究論文が12日、発表された。

 氷河をめぐってはこれまで、気候変動による影響の表れ方が緩慢で、年間の気象の変化の影響を受けやすいことから、その融解の原因がすべて気候変動にあるかどうかをめぐって科学界で論争となっていた。

 英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に発表された最新の研究では、世界37か所の山岳氷河を統計的技術を用いて分析した。

 その結果、対象となった山岳氷河の大半では、気候変動が原因で融解している確率が99%以上に上ったと研究論文は述べている。このことはつまり、20世紀中の氷河融解をめぐる因果関係について、研究チームは「ほぼ確信」していることになる。

 米ワシントン大学(University of Washington)の研究者らによる今回の研究成果は、米サンフランシスコ(San Francisco)で開催の米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の年次秋期総会で発表された。

 研究者らは、例を挙げて融解事象を説明した。オーストラリアの氷河「Hintereisferner Glacier」については、1880年以降2.8キロ後退しており、気候変動が原因である可能性が極めて高いと述べ、自然変動である可能性は0.001%あるいは10万分の1にとどまるとした。

 またニュージーランドの有名なフランツ・ジョセフ氷河(Franz Josef Glacier)については、過去130年間で計3.2キロメートル後退した原因が自然変動である可能性は1%未満とした。

 一方で、地球温暖化が原因の可能性が低いと考えられる氷河としては、米北西部ワシントン(Washington)州のサウスカスケード氷河(South Cascade Glacier)やスウェーデン北部の「Rabots Glacier」などが挙げられた。

 これらの氷河では、気象の変化による自然変動が後退の原因とされる可能性が6~11%だった。(c)AFP