ノーベル賞授賞式、ディラン氏がメッセージ「受賞できて光栄」
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【12月11日 AFP】スウェーデンの首都ストックホルム(Stockholm)で10日に行われたノーベル賞(Nobel Prize)授賞式で、「先約」を理由に欠席したノーベル文学賞(Nobel Prize in Literature)受賞者の米シンガー・ソングライター、ボブ・ディラン(Bob Dylan)氏のメッセージが代読された。
ディラン氏はアジータ・ラジ(Azita Raji)駐スウェーデン米国大使によって読み上げられたメッセージの中で「もしも私にもノーベル賞を受賞する可能性が少しくらいはあるよと誰かに言われたとしても、それは私が月面に立つのと同じくらいの可能性しかないだろうと思ったでしょう」と受賞の驚きを明かした。
また、式に出席できなかったことを「申し訳ない」と謝罪したうえで「私の精神はあなたがたと共に(式典会場に)いるのだと知っていただきたい。このような名誉ある賞を受賞できて光栄に思っています」と謝意を表した。
さらにディラン氏は、今回の受賞によって自身の歌を文学作品として捉える機会を与えられたとして、ノーベル賞の選考委員会であるスウェーデン・アカデミー(Swedish Academy)に感謝した。「『私の歌は文学なのだろうか?』などと考えたことはこれまで一度もなかった。ですから私にこの疑問について考えるきっかけを与えてくれ、そして、この根本的な問いに対して最終的に素晴らしい回答を与えてくれたスウェーデン・アカデミーに感謝します」
そして、英国の作家ラドヤード・キプリング(Rudyard Kipling)、英国の劇作家ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw)、フランスの作家・哲学者のアルベール・カミュ(Albert Camus)らそうそうたるノーベル文学賞受賞者たちの仲間入りを果たしたことに「言葉にできないほど」心から感動しているとも述べている。
物議を醸したディラン氏の授賞式欠席により、式典後の晩さん会ではディラン氏と交流のある米ロック歌手、パティ・スミス(Patti Smith)さんがディラン氏の曲「はげしい雨が降る(A Hard Rain's A-Gonna Fall)」を歌った。緊張のあまり途中で歌が途切れてしまうハプニングもあったが、スミスさんは約1500人の出席者に謝り、温かい拍手を受けて歌い直した。(c)AFP