【12月10日 AFP】1000人を超えるロシア人選手が禁止薬物を使用する「組織的な陰謀」に関与していたと示すマクラーレン報告書が9日に公表されたことを受け、米国とドイツから非難の声が上がっている。

 カナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏は、夏季及び冬季五輪に出場した1000人以上のロシア選手が「ドーピング検査での陽性反応を隠すための策略に関与したり、恩恵を受けていたりしていた可能性がある」と述べた。

 さらに、世界反ドーピング機関(WADA)が公表した同氏の報告書によれば、2014年のソチ冬季五輪では、検査用のサンプルを操作するために塩やコーヒーが使用されていたという。

 今回の発表を受け、米反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、「どれだけオリンピックムーブメントが腐敗し、ロシアの国家ぐるみのドーピングシステムによってクリーンな選手たちが失われているかを示す新たな驚きの一例だ」と語った。

「国際オリンピック委員会(IOC)は行動しなくてはならないし、WADAが真に独立した国際規制機関としての権限が与えられ、ロシア・オリンピック委員会(ROC)が規定を順守しているとみなされるまでは、クリーンな選手たちが満足することはないだろう」

「ロシアの反ドーピングプログラムが規定を完全に順守するまでは、いかなる国際スポーツイベントも同国で開催されるべきではないし、今回の不正に関わったすべての個人選手にも責任がある」

 ロシアに対しては、国際陸上競技連盟(IAAF)が資格停止処分の延長を決めただけでなく、IOCも今週、制裁措置の延長を発表。今夏のリオデジャネイロ五輪では、陸上競技のほぼ全選手が除外処分を受けた。

 一方、ドイツ陸上競技連盟(DLV)の会長を務めるクレメンス・プロコップ(Clemens Prokop)氏は、すべてのロシア選手に対する全面的な出場禁止処分を要求している。

「ロシアスポーツは、信頼が回復されるまで、五輪を含むすべての国際大会から除外されるべきだ。これは、オリンピックムーブメントに対する根本的な攻撃であり、その価値が同国によって沼の中を引きずられているような事態だ。IOCの信頼性も危機にひんしている」

 IOCは今回の最終報告を受け、ソチ五輪に出場したロシア選手の検体254件を再検査するとしている。(c)AFP