【12月9日 AFP】3000年近く覆いの下に隠されていた古代エジプトのミイラの内部が、英・豪合同展覧会のため、最先端のスキャン技術を用いて初めてあらわになった。

 立体画像で実体が復元されたのは大英博物館(British Museum)が所蔵する紀元前900年から紀元後140~180年ごろの主に古代エジプト時代のミイラ6体。これまで実際に覆いがとられたことは一度もなく、数千年前のナイル(Nile)川沿岸における暮らしを知る手掛かりとなる。

 大英博物館の学芸員、ダニエル・アントワーヌ(Daniel Antoine)氏によると、ミイラの立体画像撮影は英ロンドン(London)の王立ブロンプトン病院(Royal Brompton Hospital)で行われた。2重エネルギー・コンピューター断層撮影(CT)でミイラの断面画像を数千枚撮影し、体積測定ソフトウエアを用いて3次元の復元画像を作成した。

 アントワーヌ氏は、立体画像によって「ミイラに残っていた動脈まで見ることができる。これでミイラの人物が心疾患など現代人と同じ疾患にかかっていたかどうかがわかる」と語った。

 さらに10年後にも最新技術を用いてミイラを再びスキャンすれば、その人物の健康状態や死に至った原因なども突き止められるとアントワーヌ氏は考えている。

 6体のミイラは10日から豪シドニー(Sydney)のパワーハウスミュージアム(Powerhouse Museum)で公開される。(c)AFP