元難民の米議員、首都のタクシー内でイスラム嫌悪の暴言被害
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【12月8日 AFP】米国初の元ソマリア難民の女性州議会議員が7日、米首都ワシントン(Washington D.C.)で乗車したタクシーの運転手から「憎悪に満ちた」「イスラム嫌悪」の暴言を浴びせられたことを明らかにした。
被害を訴えたのは、中西部ミネソタ(Minnesota)州のイルハン・オマール(Ilhan Omar)州議員。11月の米州議会選で元ソマリア難民の米国人として初めて当選を果たした。イスラム教徒で、ヒジャブ(頭髪を覆い隠すスカーフ)を着用している。
オマール議員がSNS最大手フェイスブック(Facebook)に書き込んだところによると、同議員はホワイトハウス(White House)で行われた政策会議に出席した後、宿泊しているホテルに戻るためタクシーに乗った。その車内で、運転手から「これまで経験した中で最も憎悪に満ち、軽蔑的で、イスラム嫌悪と性差別があらわな言葉であざけられ、脅迫された」という。
「運転手は私をISISと呼び、ヒジャブを剥いでやると脅してきた」とオマール議員は訴えている。ISISは、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の別称だ。
オマール議員は慌ててタクシーから降り、フェイスブックにこの経験を報告。ワシントンでの滞在先は運転手に知られているため、地元ミネアポリス(Minneapolis)に戻ったら通報すると書き込んだ。
「まだ動揺している。イスラム教徒に対してあれだけの憎悪をむき出しにできる人がいるなんて、理解できない」(オマール議員)
11月の選挙では、イスラム教徒の移民や難民を軽蔑する発言を繰り返してきた共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が次期大統領に選ばれた一方、元ソマリア難民のオマール議員が州議会選で当選したことも注目を集めた。
米連邦捜査局(FBI)が先月発表した報告書によると、米国内で報告されたイスラム教徒に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)は昨年67%増加し、2001年9月11日の米同時多発攻撃の直後以来で最多を記録したという。(c)AFP