【12月6日 AFP】2011年の東日本大震災に伴う福島第1原子力発電所での事故を受け、ドイツ政府が自国の原発の停止を命じたことについて、ドイツの連邦憲法裁判所は6日、原発を操業していたエネルギー企業各社が補償を求める権利を認める判断を下した。

 同裁判所のフェルディナント・キルヒーホフ(Ferdinand Kirchhof)主席判事は「福島の事故をきっかけとして国民の健康と環境を守るために議会が原子力発電からの脱出を加速させたことは容認できる」と述べた。さらに段階的廃止の決定自体も合法だとしながら憲法裁判所は、企業側が政府から「適切」な補償を受け取る権利があると認めた。こうした補償については現在、法律で定められていない。一方、同判事は補償額については言及しなかった。

 ドイツの原発を操業する独エネルギー大手エーオン(E.ON)と同RWE、スウェーデン電力会社バッテンファル(Vattenfall)は、原発廃止は資産の「没収」にあたるとして独政府を相手取り、巨額の賠償請求訴訟を起こしている。原発の段階的廃止を旗印の一つとしてきたアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相にとって、今回の憲法裁判所の判断は打撃となりそうだ。(c)AFP