【12月6日 AFP】バングラデシュで4日、自殺しようとしていた34歳の男性を線路から救出した作業員の男性が、政府当局から表彰を受けた。防犯カメラによって捉えられていたビラル・ホサイン・マズンダール(Billal Hossain Mazumder)さん(50)の勇敢な行動は、ソーシャルメディアを通じて急速に拡散し、マズンダールさんは一躍有名人となっていた。

 鉄道の架線を取り扱う作業員として働くマズンダールさんは先月、列車が近づく中、自らの命の危険を顧みず、自殺しようとしていた34歳の男性さんを線路から引きずり出した。

 マズンダールさんはAFPに対し「列車を停止させるために赤旗を掲げたが、すぐに間に合わないと気付いた」と話し、「自分が死ぬかもしれないと思ったが、自分が助けなければ、これから残りの人生でこの若者の顔をずっと思い浮かべることになると思った」と述べた。

 救出劇の全容を捉えた防犯カメラの映像はソーシャルメディアを通じて拡散し、多くの人々がマズンダールさんの勇敢な行動を称賛した。

 4人の子どもを抱えるマズンダールさんの月収は100ドル(約1万1000円)以下で、男性を救出する際、自身の幸福については考える時間がなかったという。

「再び同じ状況になったら同じ行動をするだろう。命は尊いものだ。耐えられない苦痛に直面してもなお自殺を図るべきではない」

 バングラデシュのムジブル・ホク(Mujibul Haque)鉄道相は、首都ダッカ(Dhaka)で行われた表彰式でマジュンダールさんを「英雄」と呼び、その勇気をたたえて現金10万タカ(約14万3000円)を手渡した。(c)AFP