【12月6日 AFP】米国ボブスレー・スケルトン連盟(USABS)は5日、来年2月にロシア・ソチ(Sochi)で行われるFIBT世界選手権(FIBT World Championships 2017)に出場することについて、米国選手が不安の声を挙げている一方で、新たな調査報告書が発表されるまで具体的な行動は取らないと述べた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は4日付けの記事で、米国のボブスレーおよびスケルトンの選手がロシアのドーピングスキャンダルに抗議し、世界選手権のボイコットを検討していると報じた。

 USABSの責任者を務めるダリン・スティール(Darrin Steele)氏は、AFPに対し、団体として「組織的なボイコット」に反対することが「一般原則」であるとの声明を出した。

 しかしながら同氏は、大会に出場予定の米国選手が、ロシアで競技を行うことに不安の声を上げていると認めた上で、今週中に公表されるカナダの法律家リチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏によるロシアの組織的なドーピングを暴いた最終報告書を待って、具体的な結論を出すとしている。

「わが国の選手たちの大多数は、ソチでの競技に不安を抱いている。しかし、それと同時に、彼らはマクラーレン報告書の発表を待ち、心配が和らげられて世界選手権に集中できるようになることを期待している」

 タイムズ紙の報道では、世界反ドーピング機関(WADA)の調査で2014年ソチ冬季五輪の検査結果が組織的に改ざんされていた疑惑が発覚したにもかかわらず、ロシアで大会が行われるという現状に、米国選手が不満をあらわにしていると伝えられている。

 女子スケルトンのケイティー・ユーラエンダー(Katie Uhlaender)は、「ソチのスキャンダルについて何の対処もされていないのに、私たちがそこでレースを行うことになっているのは安心できませんし、事態が深刻にとらえられているとは思えません」とコメントした。

 一方、男子スケルトンのカイル・トレス(Kyle Tress)は、大会への決断は「決まったも同然」と口にしたうえで、「もう選手たちの意志に委ねられている。大会を欠場する方向に多くの支持が集まっている。それが正しい決断だと思う」と語った。(c)AFP