【12月4日 AFP】キューバ政府は、先月25日に90歳で死去したフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長の遺言を尊重し、その名前を道に冠したり、像を作ったりといったことは行わない方針を発表した。前議長の実弟のラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長が3日、発表した。

 東部サンティアゴデクーバ(Santiago de Cuba)へのフィデル氏の遺灰の埋葬を翌日に控え、ラウル現議長は大規模な集会で演説し、今月行われる議会で「前議長の遺志をかなえる」法案が提出されるだろうと述べた。また「革命の指導者は、いかなる個人崇拝の表明も拒否していた」と述べた。

 ラウル議長はフィデル氏の遺言について「自身の死後、さまざまな機関や広場、公園、道路などの公共施設に自分の名前や肖像は使用されたくないと主張し、その態度は人生最期のときまで一貫していた」と述べた。また「記念碑や像といった同様の形態のもの」もあってはならないと述べていたという。

 フィデル氏はキューバ革命を経て1959年に政権を握って以来、2006年に国家元首の権限を実弟のラウル現議長に暫定移譲するまで数十年にわたり、キューバ国民の生活のあらゆる場面でその姿を目にする存在だったが、常日ごろから自身を記念する建造物や碑などは一切いらないと語っていた。また、ジャーナリストのイグナシオ・ラモネ(Ignacio Ramonet)氏との会見で「個人崇拝のようなものは何であれ嫌いだ」と語ったこともある。(c)AFP