【12月1日 AFP】両親と卵細胞のドナーの3人の親を持つ子どもを誕生させる場合、ドナーと母親のDNAの適合性を高めることで、病気を引き起こす遺伝子変異が子どもに受け継がれるリスクを抑えることができる可能性があるとの研究結果が11月30日、発表された。

 これは、今後研究を重ねる必要はあるものの、母親からのみ受け継がれるミトコンドリアDNA(mtDNA)に異常を抱える女性に体外受精を提供する急成長分野をさらに拡大させる成果だ。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された研究論文によると、子どもを持ちたいと希望するカップルとともに3人目の親となる卵細胞のドナーには、母親のmtDNAと遺伝子的に密接な関連性を持つmtDNAを持つ女性を選択するべきだという。

 人体のあらゆる細胞は、約2万3000個の遺伝子を持っている。その大半が細胞核内にあり、核DNAと呼ばれる。

 一方、糖と酸素をエネルギーに変える、細胞の発電装置である細胞小器官のミトコンドリアにも、37個の遺伝子(mtDNA)が存在する。

 核DNAは、父親と母親の両方から子に受け継がれるが、mtDNAは母親からのみ受け継がれる。

 一部の女性は異常な変異を含むmtDNAを持っており、これが子どもに受け継がれると、さまざまな衰弱性の治療困難な病気を引き起こす可能性がある。

 mtDNAの変異を抱える女性は、「ミトコンドリア置換法」と呼ばれる技術を用いた体外受精によって、健康な子どもを持つことができる可能性がある。

 女性の卵細胞から取り出した核DNAを、健康なミトコンドリアを残して核を除去したドナーの卵細胞に、父親の精子とともに組み込む。

 だが、研究室で行う実験では、この手法を用いて培養した細胞が、母親の変異したmtDNAに戻る現象が発生することがある。母親のmtDNAの痕跡は、母親の核DNAによって持ち込まれる可能性がある。