【11月30日 AFP】オーストラリアの荒野にピックアップトラックに乗ってカウボーイブーツ姿の男女たちが集まって来る。ここではアルコールが24時間ぶっ通しで飲み放題――現代オーストラリアの出会い系パーティーへ、ようこそ。

 へき地の小村や農場に暮らす独身の男女にとって、パートナー探しで頼りになるのは出会い系アプリよりも昔ながらの「バチェラー・アンド・スピンスター(Bachelor and Spinster、独身男性と独身女性)」と呼ばれるお見合い目的のダンスパーティーだ。

 大自然が残るオーストラリアの荒野「アウトバック(Outback)」を舞台にした独身男女向けの野外パーティーは何十年も前から続く伝統で、今でも数千人の若者たちが集まる。恋人を求める人もいれば、酔って騒ぎたいだけの人もいる。

 かつてゴールドラッシュで栄えたガルゴン(Gulgong)から訪れたエミリー・ピットさん(24)によれば「かなり昔からの慣習」だという。家と家の間が何百キロも離れている田舎で独身者たちはこうしたパーティーを通じて出会ってきたのだそうだ。

 シドニー(Sydney)から西へ400キロ。小麦や菜の花の広大な畑に囲まれたアリアパーク(Ariah Park)は、本来は出会い系パーティーよりも穀物の産地として知られる町だ。人口はわずか500人ほどで、メインストリートには大きなベランダのある歴史的な建造物が立ち並び、時間が止まっているようだ。

 いつもは平穏な町だが、10月最後の土曜日になるとパーティーの参加者たちを乗せた大量のピックアップトラックが大きなエンジン音とともに押し寄せる。今年の野外出会い系ダンスパーティーには32年の歴史の中で2番目に多い1500人ほどが参加した。

 夜のダンスパーティーは正装と決められているが、その前のウオームアップパーティーは服装自由。参加者はTシャツやサンダル姿で、酒を飲むペースも速い。

 はるか200キロを超える遠方から車を運転して参加したクラウディア・ベイリーさんは「とにかく楽しい。知らない人たちと出会えるし、お酒も飲めて盛り上がる」と話す。ベイリーさんの参加は今回で5回目だ。